「見つけた!私の市川」第15回 市川フォトフェスティバルを主催する「市川写真家協会」はこんな団体です
写真は「写心」である。
かつてある写真家の方からおしえてもらった言葉です。
撮る者の心を写す。それが写真である、と。
「市川写真家協会」ってどんな組織???
10/29(火)から市川市文化会館を皮切りに開催される市川フォトフェスティバルは、今回で第15回を迎えます。
(応募締切は、9/30(月)まで。既に応募終了しています。ご注意ください)
参考記事:【応募締切は9/30】見つけた!私の市川「第15回市川フォトフェスティバル2019」の作品を募集中です、作品展示は11月@市川市文化会館
市川フォトフェスティバルを15年に渡って主催してきた「市川写真家協会」。
IPPS:Ichikawa Professional Photographers Society
同会は、市川市在住または市内で活動する職業写真家16名で構成されています。
市川フォトフェスティバルが今回で15回目という節目の開催にあたり、市川写真家協会が一体どんな組織なのか?
市川にゅ~すが、同会の生い立ちや今後目指す方向などメンバーからお話しを伺い、様々なエピソードを交えてご紹介します。
【話し手】
・市川写真家協会 会長 内田 園子さん
・ 〃 副会長 池田 弘之さん
・ 〃 理事 片山 麻衣子さん
市川写真家協会の発足から今に至るまで
—–会の発足当初から現在に至るまで、「写真」が変化してきたと感じることはありますか?
「市川写真家協会発足当初の2005年頃は誰もが気軽に撮れるコンパクトデジタルカメラの黎明期(れいめいき)でした。今は『誰でも気軽に撮れる』ガジェットがコンデジからスマートフォンへ移行したように思えます。15年の間に趣味で写真を撮る方々のアプローチや道具などがだいぶ様変わりしたと感じています」(池田さん)
「若い人たちに見られる傾向ですが、スマートフォンで撮った写真は、インスタグラムやSNSにアップしてそこで終わってしまう。つまりデジタルデータの世界で完結してしまっていて、写真をプリントすることが少なくなっているように思えます」(片山さん)
確かに筆者自身もスマホで写真を撮ってそのまま保存しただけで終わっていることが大半です。いつかはプリントしてアルバムを作ろう!と思いながらも雑事にかまけて、いつまで経っても実行に移せないというのが正直なところ。
かつてはカメラを撮ったら写真屋さんに現像してもらい、ようやくそこで自分の撮った写真を目にすることが出来るという工程を踏まなければなりませんでした。仕上がりを待つ間のワクワクする気持ちもカメラを撮る楽しみの一つだったと思います。
写真がアナログからデジタルへ変わっていったことでスピードは上がった分、写真そのものに対する価値が低くなっているようにも感じられます。
「写真」が人助けになることを実感。
—–写真家協会を発足し、組織として地域や人々に貢献出来たと実感することはありますか?
「会の発足当初、2004年12月にスマトラ沖地震が起きました。協会として何が出来るのか?と考え、市川真間のギャラリーで急遽作品展を開催することになりました。13日間の会期で、延べ964人もの方々にご来場いただき、50万円以上の義援金が集まりました。このお金は市川市を通してインドネシア政府に全て寄付させていただきました」(池田さん)
この時、池田さんは本来写真が持っている役割以外に大きな可能性があることを実感しました。
一人では成しえないことが何人か集まると知恵が生まれ、物事を実行に移す推進力が生まれるのを肌で感じたと言います。
「写真で何かワクワクするきっかけが出来たり、感動が生まれればいいなと思います。そのために、趣味で写真を楽しむ方々へ私たちが何かお手伝い出来たら。市川写真家協会が外から見られた時に楽しそうな組織だなぁと興味を持ってもらえると嬉しいです」(片山さん)
今回で15回目。「市川フォトフェスティバル」はこうして出来ています
—–市川写真家協会さんにとって年間を通して一番大きな行事「フォトフェスティバル」についてお話ししてください。
「昨年は、一般作品の応募が129選(うち入賞40選)、小学生が1,133選(うち優秀作品が144選)。皆さんそれぞれに特徴があり個性豊かな作品が勢ぞろいでした」(内田さん)
市川写真家協会にとってこのフォトフェスティバルが年間を通じて一番大きなイベントです。
始めた当初は、同会の存在があまり認知されていないことから、応募用紙を学校や公共の施設などに置かせてもらえず、苦労したこともあったようです。
「回を追うごとに、特に小学生の作品クオリティが上がってきましたね。以前はL版だったプリントを2Lにサイズアップしました。画面が2倍になると今まで小さく写っていてよく分からなかったものがはっきりと見えるようになり、ごまかしが効かなくなります。そういうことも手伝い、きっと子供たちが頑張って腕を上げてきたんだと思うんです。それが結果的に全体レベルの底上げにつながったのではと思っています」(池田さん)
「小学生の部で受賞したお子さんが何度も作品の展示会場に足を運んでくれたことがあります。最初はお友達と見に来て、そのあとはご両親と。三度目はおじいちゃん、おばあちゃんの手を引いて来てくれた時には嬉しかったですね。主催者としてやりがいを感じました。写真は人と人をつなぐものです。まさにそれを実感出来た瞬間でした」(内田さん)
「10月~11月は七五三など写真を撮る仕事のオファーがとても多い。けれど、毎年この時期にフォトフェスティバルが佳境に入ることもあって、多くの仕事の依頼を泣く泣くお断りしています。全てはフォトフェスティバルに集中するためです」(池田さん)
筆者も毎年フォトフェスティバル会場でたくさんの写真を観賞します。特に子供たちの出展作品には子供ならではの視点で捉えた写真が数多くあり、感動させられます。また一般参加者の作品も素晴らしいものが多く、どれを選べばよいか大いに迷います。(応募作品は全て展示され、来場者による投票で上位40作品が百選に決定されます。)
このようなイベントが地道に行われている背景には、協会の方々のたゆみない努力があることを知りました。
一時期は組織の存続が危ぶまれたことも…
写真を愛し、地元を愛する市川写真家協会の方々ですが、数年前には組織の機能をどこか別の団体に移管し、会を解散させた方がいいのでは?という意見も出ていたようです。
「メンバーが高齢化していき、なかなかスムーズに物事が進まなくなりました。写真家協会としての存在意義は何なのか?いっそ会の終活を図るべきじゃないのか?悩んでいた時がありました。
でも市川の歴史的財産(過去から保存してきた市内の写真など)は写真家協会が持っている。これをもっと地域のために有効活用出来ないか?そんなことを考えていると、時期を同じくして若いメンバーが数人加入し、組織に勢いが生まれてきました」(内田さん)
写真は市川写真家協会の定例会風景です。月に1度、各自が持つ経験やスキルを講義形式でプレゼンテーションし、協会メンバー間で技術的な共有を図っています。
また、要望に応じてサークルやクラブなど主に市内のアマチュア団体向けに市川写真家協会から講師を派遣しています。
※市川写真家協会公式Webサイト:https://ipps-ichikawa.org/
「市川を写真で盛り上げていきたい。メンバー全員が共有している思いです。そのために写真家協会がこれから先何をしていけるかをいつも真剣に考えています。願わくは、もっとメンバーが増えていってくれればと思っています」(片山さん)
約2時間半にわたり、「市川」という地域の写真家が集う組織として今後目指したい方向や様々な構想をお聞かせいただきました。皆さんそれぞれ地元愛に満ち溢れています。
現在のメンバー数が16名ということで、やはり若い世代の職業写真家を中心にもっと会の人数が増えていってほしいということも分かりました。
「見つけた!私の市川」
応募者の皆さんの「心」を写した写真が今年もたくさん集まることでしょう。
今年は過去最高に迫る展示数で、内容も今まで以上の充実ぶりとのこと。
間もなく開催される第15回市川フォトフェスティバルが楽しみです。
2019・第15回市川フォトフェスティバル作品展示・投票期間
- 開催期間:2019年10月29日(火)~11月4日(月)10:00~18:00(最終日は17:00まで)
- 開催場所:市川市文化会館
2019・第15回市川フォトフェスティバル発表展
- 開催期間:2019年12月1日(日)~12月15日(日) 9:00~22:00(初日は13:00~/最終日は17:00まで)
- 開催場所:アイリンクタウン45F
2019・第15回市川フォトフェスティバル選抜展
- 開催期間:2020年1月11日(土)~1月31日(金) 8:00~22:00
- 開催場所:道の駅いちかわ
市川市文化会館 アクセス
10/29(火)から市川フォトフェスティバル開催される市川市文化会館は、JR本八幡駅、都営新宿線本八幡駅を下車し南方面へ徒歩約13分。手前に大和田小学校があります。
ライター:u1ro