紀元前14世紀ごろの中国が起源と言われる青磁(せいじ)。その透明感のある青緑色の磁器は、時を経て朝鮮半島や東南アジア、そして日本に伝播してゆきました。

青磁は一般的には硬くて冷たいイメージを持たれます。しかし吉田日出子さんの手によって作り出される青磁器には品格と温かさが共存する、そんな印象を受けました。

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5/24~31市内在住の陶器・磁器作家「吉田日出子」さんの作品展が開催されます

吉田日出子さんは、現在市川市大野町に在住。

「天翔窯(てんしょうがま)」という工房・陶芸教室を運営し、陶器・磁器の創作活動に日々いそしんでいます。かつては宮久保に住んでいた吉田さんが大野町に拠点を移したのは、還暦を前にして旅立ったご主人との死別がきっかけでした。

「最大の理解者である夫が亡くなり一時は市川市を離れ、生まれ故郷である香取郡東庄町に移り住もうか、とも考えました。しかし、あるきっかけで現在の工房である大野町の一画を目にしたとき、ここだ!と直感的に感じるものがありました。窯(かま)を作るのならばここしかない。強くそう感じました」(吉田日出子さん談)

陶器・磁器の作家にとって窯を所有するというのは一つのステータスであると言われます。
そして工房の窯は天に召された最愛の夫をその由来とし「天翔窯(てんしょうがま)」と名づけられました。

【陶器・磁器作家 吉田日出子 略歴】

  • 1951年 香取郡東庄町に生まれる。
  • 1985年~現在 市川私立宮久保幼稚園にて陶芸講師を行う。
  • 2005年~2012年 蒼樹展入選「東京都美術館」
  • 2005年~現在 日本橋「好文画廊」にて個展を開催。
  • 2008年・11年・12年 川村記念美術館にて展示。
  • 2011年 市川市長賞受賞(作品:青磁組鉢 市川市美術展覧会)
  • 2011年 蒼樹展銀賞受賞(作品:青磁輪花組鉢)
  • 2014年 教育長賞受賞(作品:青磁花器 市川市美術展覧会)
  • 2017年 市川市議会議長賞受賞(作品:よいしょ 市川市美術展覧会)

吉田日出子「天翔窯・和泉陶芸教室」公式HP:www.tenshowgama.com/

手作りのプリンが本当に美味しかった。(Le Mani店主さん)

数々の華々しい賞を受賞してきた吉田さん。ギャラリー「Le Mani」の店主さんとの出会いは、日本橋の展示会でした。

「青磁は、冷たく硬いというイメージがあったのですが、吉田日出子さんの作品を拝見したとき、凛とした風格の中に何とも言えない温かみを感じました。お話しするとお人柄も素敵で、是非、当ギャラリーでも作品をお預かりしたいと思いました。お土産でいただいた吉田さん手作りのプリンが本当に美味しかったです。作家さんの手で作られたお菓子をいただけたのはとても嬉しかったですね。」(ギャラリー「Le Mani」店主さん談)
※「Le Mani」には複数の手という意味があります。

地域への貢献。30年にわたり市内幼稚園で陶芸をおしえる

吉田さんは30年以上にわたり市内の宮久保幼稚園で陶芸講師を務めています。

「色々な子どもがいて面白いです。触らないで!と言わんばかりに自分で率先して作っていく子もいれば、土に触れるのに抵抗感があるのか、最初から最後までやってほしがる子もいます。皆一様に自分の作品が出来上がると満足気で、そんな子どもたちの喜ぶ顔を見るのが励みになっています。」(吉田日出子さん談)

夏休みに開催される天翔窯の陶芸教室は期間中80名以上の児童たちが毎年集まります。

品がありつつ温かく親しみのある…そんな作品をつくっていきたい。

吉田日出子さんの個展で毎年毎回必ず食器を購入されるご年配のご婦人がいます。ある時吉田さんはその理由を尋ねてみました。

「主人が言うのです。君の作ってくれる料理はいつも私好みの同じ味だからたまには器を変えてみてもいいんじゃないか、と。」

このご婦人からの一言が吉田さんの創作活動に大きな活力を与えたと言います。

「まだ土の段階から使う人のことを考えて作品作りに取り組みます。徐々に出来上がってくる過程で、湿り気や微妙な凹凸など、目で見るより手で触れた方がよりはっきりと分かります。」(吉田日出子さん談)

一度窯(かま)に火を入れると実に30時間以上、焼き始めから一人で作品の状態に気を配る孤独な作業が続きます。焼き上がった器はどれ一つ取っても同じものはありません。

「温かいもの。品があるけれども親しみを感じられるというような、ある種逆説的なことなのですが、そういう作品づくりを目指しています。」(吉田日出子さん談)

古来、皇帝や貴族が使っていた高貴な青磁器。しかし現代に生きる吉田日出子さんの作品からは、品格に加え優しい手の温もりが感じられます。

5/24(金)~5/31(金)までの一週間、5/28(火)以外は、作家ご本人在廊予定です。

市川市の陶器・磁器作家「吉田日出子」さんの素敵な作品に触れてみませんか?きっとあなたの手にもその温もりが伝わってきます。

【吉田日出子 作品展】

  • 会期:2019年5月24日(金)~5月31日(金) ※休廊日:5月29日(水)
  • 場所:東菅野 ギャラリー「Le Mani」

※ギャラリーへの入場は無料。予約不要です。

ライター:u1ro