4/27(火)~5/2(日)「歩いてきた一つ一つの場所がふるさと」市内在住の洋画家 大島暁さんの個展が木内ギャラリーで開催されます
2021年4月27日(火)~5月2日(日)市川市木内ギャラリーにて市内在住の洋画家大島暁(おおしまさとる)さんの個展が開催されます。
(※注:新型コロナウィルス感染拡大の状況により延期、中止の可能性もあります。)
油彩展『薔薇色のスペイン 桜色のふるさと』4/27(火)〜5/2(日)木内ギャラリーにて開催されます
一度も訪れたはずがないのに何故か懐かしい場所。
2018年10月、ふらりと立ち寄った芳澤ガーデンギャラリーにその絵はありました。
気が遠くなるような澄み渡るスペインの”青”に魅せられ、しばしその場に立ち尽くしたのを覚えています。
「絵を描きながら転々と色んな場所を歩いてきますとね、いつしかその一つ一つがふるさとになるんですよ。不思議なものでね。だから僕にとって”ふるさと”は生まれた場所じゃなく、自分が辿ってきた道の中にある幾つかの場所なんです」(大島暁さん、以下「 」内は全て大島さんの談)
風光明媚な岡山県寄島町に生まれ独学で絵を学ぶ。エンジニアから小学校の教諭へ
市川市在住の洋画家大島暁(おおしまさとる)さんは、1946年岡山県の浅口市寄島町に生まれます。
寄島町は人口6,500人ほどの瀬戸内海に面した美しい漁業の町です。
小児ぜんそくを患い激しい運動を制限されていた少年の楽しみはもっぱら近所を散策することでした。歩きながら見つけた風景をいつしか白い画用紙に表現してみる。大島さんにとって絵を描くことは自然の成り行きでした。
「以前に地元(岡山)で”親子展”というテーマで個展を開催したことがありましてね。親父にパンフレットのゲラを見せに行きました。でもそれが親父とは最後になっちゃった・・・」
全て独学で絵を学んできたという大島さんは、父から”エンジニアになりなさい”と言われ、大学の工学部を卒業した後、会社に勤めメンテナンス技師になります。
「どのぐらい勤めていたんだろう?とにかく絵を描く時間を確保したくて、このままこの仕事を続けていては思うような未来を生きられないと思いました。誰かが既に作った世界に入って仕事をするのが嫌だったんですね。そこで20代半ば、通信教育で勉強して教員免許を取得し、小学校で図工を教えることになります」
日中は小学校で教える傍ら、帰宅して家のことを一通りを済ますと夜10時ぐらいから夜中の2時まで毎日絵を描き続けました。
ここから楽しむ時間が持てるようになったと大島さんは言います。夏休みなど長期の休みを利用し、絵を描くために旅を重ねてきました。
孤高なる精神に触れたスペインの地。絵画と文字の織りなす大島暁の物語
「スペインに行ったのははもう数え切れない。そこで見た風景や匂い、一度目で見て身体で感じたものを自分の中に入れます。直ぐに描くこともあれば、時に任せて”自分の中に入ったもの”が醸成するのを待ってから描くこともあります。その時々の自分が感じることを大事にしたい。決して過去の自分を模写してはいけない」
大島さんの作品で特徴的なのは、ご自身で書くキャプション(説明文)の素晴らしさです。
作品の説明やその時々に感じたことをとてもシンプルに優しい語り口調で文字にしています。
これは実際に会場に足を運んで是非ご覧いただきたい点で、絵画を軸に展開される物語にいつしか引き込まれます。
「絵と文は僕の中ではいつも一体なんです。絵という抽象的なものを文字でフォローしたい。絵の見方は様々です。見る人の視点、感性で味わっていただければいいと思います。ただ僕は描く側として伝えたいことをより具体的にしたい。そのために必要なのが文章です」
コロナ禍でことごとく中止を強いられた表現の場
通常、大島さんは個展を開くには年間を通して計画、準備するのですが、この一年は本当に参ったと肩を落としていました。
計画しては延期か中止の繰り返し。テーマを決めにくいだけではなく、計画してもまた潰れるのでは?という疑心暗鬼で気持ちの落ち着かない日々を送っていたと言います。
「今桜の絵を描いてます。4/27からの木内ギャラリーが予定通り開催されれば、桜も含めて30点ほど展示する予定です」
先日、大島さんが散歩していると江戸川水門付近に印象的な桜の木を見つけました。
「絢爛に咲き乱れる桜の幹に四連の折り鶴がびっしりと飾られていたのです。これだけたくさんのしかも手の込んだ四連の折り鶴を桜の幹に飾るのは相当な執念が要ります。これを見て僕の中で作り上げられた物語があります」
「悲しくない人生なんて人生じゃない」
ロシア出身の作曲家チャイコフスキー(1840〜1893年)が表現した”悲しみ”が好きだと言う大島さん。
「交響曲第6番『悲愴』の終わり方なんて悲し過ぎるじゃないですか。皆多かれ少なかれ悲しみを持って生きている。悲しいことを多く経験した人は、他者を慮る心を持ちそして他者に優しくなれます。悲しくない人生なんて人生じゃないですよ(笑)」
チャイコフスキーの経歴は、この時代の作曲家たちとは毛色の違うものです。
鉱山技師の次男として生まれたチャイコフスキーは専門的な音楽教育を受けることなく育ちました。サンクトペテルブルクの法律学校を卒業後、法務省に勤めます。しかし音楽への情熱を捨て切れず、23歳で文官の職を辞し、音楽の家庭教師をしながら作曲活動を続け、世界中が知るところの名曲をたくさん残しました。
画家大島暁さんの選んできた生き方が、ご自身の好きな作曲家のそれとどこか共通している点に興味深いものを感じます。
「地元市川のじゅんさい池の緑と桜を描いた作品もあります。多くの人に知られなくてもいい。木内ギャラリーに見に来てくださった何人かの記憶に残ってくれれば」
ここで大島暁さんのキャプションを一部抜粋させていただきます。
“ 石壁が薔薇色に輝くスペインの村、
瀬戸内の光に満ちたふるさとの海辺、
柔らかな土のぬくもりが心地よい市川の森・・・
木内の森に包まれたギャラリーに絵を飾ります。
みなさまにお会いできる時を心待ちにしながら。”
『薔薇色のスペイン 桜色のふるさと 2021年 大島 暁油彩展』 開催概要
日程:2021年4月27日(火)~5月2日(日)
時間:10:00~16:30(※最終日は14:00閉館)
場所:市川市木内ギャラリー(真間4-11-4)
Tel:047-371-4916
<アクセス>
①JR市川駅北口バス停1番乗り場 松11松戸駅行『真間山下』下車徒歩5分
②京成国府台駅より徒歩8分
※駐車場はありませんので、お車でのご来場はご遠慮ください。
●ご留意事項:新型コロナウィルス感染拡大の状況により本開催が延期、または中止となる場合もあります。
ライター:u1ro