夜空に浮かぶ三日月は、欠けているように映っても見えない陰の部分は確実に存在します。

京成鬼越駅の北側を下車して直ぐ左手に見えるシックなベージュの外壁。
入り口には「ミカヅキデザイン」とシンプルなサインがセンス良く掲げてあります。

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京成鬼越駅前にデザイン事務所「MIKAZUKI.Design」がオープンしました

扉を開けて中に入ると、モノトーン調の内装に天井からランプの光が暖かく注ぎます。

佐藤宏昭さん(ビジネスネーム:Hirock)と弥生さんがご夫妻で営むMIKAZUKI.Designが、このたびデザイン事務所を開設しました。
市川市内の店舗や施設でたびたび目にするロゴデザインは、MIKAZUKI.Designが携わったものが幾つかあります。
事務所を構えるにあたり、今後、どのような活動を展開していくのか?また地元に貢献したいことなどお話しをうかがいました。

市川市鬼越にデザイン事務所を構えた経緯

———社名を命名する上で何かエピソードがあればおしえてください。

「月は自分から発光しているわけではなく太陽の光を反映し光っているように見えます。クライアントの喜びで僕らに光を与えてくれる、そんな仕事が出来たらいいな、と。そして欠けた不完全な状態からいつかは満月になりたい!そんな思いを込めました」(佐藤宏昭さん談、以下「Hirockさん」)

今は成長段階であり様々な展望を思い描く中で、自ら発光し熱を有する太陽ではなくあくまで月であり、関わった人たちの陽光で照らされるそんな仕事をしていきたい、と思いの内を語ってくださいました。

———地元市川市の鬼越にオフィスを構えるということで、今どのような心境ですか?

「デザインはオフィスという”場”を所有しなくとも仕事が出来る自由度が高いです。実際、MIKAZUKI.Designを立ち上げて3年間、オフィスレスでやってきて幾つか実績も作ってきました」(佐藤弥生さん談、以下「弥生さん」)

コロナ禍になり、多くのビジネスパーソンが急激な働き方の変化を余儀なくされている昨今、従来のオフィス出社型から在宅やシェアオフィスを活用するテレワークが徐々に増えてきました。そのような潮流の中であえて物理的にオフィスを構えることにどのような思いがあるのか、市川にゅ〜すはとても興味がありました。

「デザイン会社での仕事は代理店経由でオファーをいただくことが多く、それぞれの役割を担うプロフェッショナルたちとチームになって大きなビジネスをする面白さがあり、そこから多くの刺激を受けます。一方、市川での仕事はエンドユーザとの直接の接点を持つことができて新しい視点が生まれます。双方の仕事が相乗効果をもたらし、足し算ではなく掛け算になっている気がします」(Hirockさん)
※Hirockさんは都内でデザイナーとして勤務しています。

「鬼越という街に居るデザイン会社。そこに誰かが訪ねてきたり、場を構えることによって生まれるご縁があると思うんです。デザインだけに特化せず、お客様の会社が今より多くの幸せを得られるようなお手伝いがしたい。そう考えると相手がより具体的で身近に見えるというのがとても大切なことだと思いました」(弥生さん)

デザイナー×2人、アイデアの尽きない掛け算のパートナーシップ

———ご夫婦二人で運営されることで、やりやすさあるいはやりにくさはありますか?共に同じデザイナーという立場でぶつかり合ったりライバル視してしまうことはありませんか?

「正直、メリットばかりでデメリットは殆ど感じません。お互いに寝ても覚めてアイデア出し合って盛り上がって。一人で考えているよりアイデアが溢れてくるんです。良い意味で仕事とプライベートの境界線がない、言わば常にonの状態です」(Hirockさん)

「元々同じ会社でデザイナーのキャリアをスタートさせて、私が入社した時、主人は既に会社を牽引する主力デザイナーで憧れの存在だったんですよ。結婚して10年経ちますが、今でもとても仲が良く喧嘩もしないですしね」(弥生さん)

強いてデメリットをあげれば、同業者の外から受ける刺激が少ないということぐらいで、現在のデザイントレンドなど積極的に学び良質なインプットを心がけているようです。
それにしても10年連れ添ってきたご夫婦とは思えない恋人同士のような雰囲気に、こちらも微笑ましい気持ちになります。

市川市内で携わったデザイン事例は?

———今まで市川市内で携わったお仕事の事例をおしえてください。

①国府台 ふくろうの森のロゴ作成
https://mikazukidesign.com/works_detail/fukuronomori_marche/

②ヤジッコキッチン 結mealのロゴ作成
https://mikazukidesign.com/works_detail/yu-meal/

「ふくろうの森さんからのオファーが、市川市内で広がるきっかけとなったお仕事です。ヤジッコキッチンさんからの結mealブランドロゴ、パッケージ作成は今までで一番大きな仕事になりました」(Hirockさん)

地元で仕事をすると関わる人たちの生活が見え、その人たちの事業に少しでも貢献しなければと強い責任感が生まれるといいます。

「皆さんの真剣な”思い”を知ると、手が抜けなくなります。でもそうやって頑張らせていただくことが、私たちの成長の積み上げになっていってるので本当にありがたいことです」(弥生さん)

———デザイン会社に勤務することとデザイン会社を経営することに違いはありますか?

「はい。大きく違います。勤め人でいるよりもフリーランスの立場だと今まで必要なかったスキルが必要になってきます。会社組織のように分業が許される場ではないので、デザインという”部分”だけじゃなく”全体”をコーディネートする力やコミュニケーション能力も問われます。それから経営に必須となる財務知識も勉強しなければいけません」(弥生さん)

「鬼越デパートメント」とは?!今後MIKAZUKI.Designの進む道

———今後、MIKAZUKI.Designはどのようなお仕事を展開していきたいですか?または将来的な夢をおしえてください。

「とにかくいいものを残していきたい。町おこし=ボランティア(持ち出し)ではダメだと思います。そこにはお金が回り、自分たちの価値も上がっていく。きちんと稼げて皆で潤っていきたい」(Hirockさん)

「以前より”鬼越デパートメント”という構想を温めています。都市部の百貨店が大変な状況なのは分かっています。でも”場”からあることで人が集まり、そこでお金が循環する、そういう仕掛け作りにあえて挑戦していきたいです。具体的には、カフェ、グッズ販売、地元の特産品販売、MIKAZUKI以外のアーティスト店舗など様々な業態がテナントさんになってもらい利益循環型のスペースを提供したい。それが鬼越デパートメントです」(弥生さん)

「オシャレなものカッコいいものを生み出すだけではなく、デザインとは、その本質をきちんと伝えられるための仕掛け作りなんです。クライアントが何を求めてどうありたいか、それを目に見える形にするのが僕らの仕事です」(Hirockさん)

「そのようなデザインの本来の意味やノウハウを例えば地元の千葉商科大学さんとコラボしたり、ワークショップを開いて子供たちに教えていったり、未来に種撒くような取り組みもしていきたいです」(弥生さん)

山形県出身のHirockさんと静岡県出身の弥生さんにとって、勤めているうちはただ寝に帰るだけの特にこだわりのない場所だった地元。この市川市に貢献するためのプランが溢れるほどストックされており、こちらも思わずワクワクさせられました。

「二人だからここまで出来ているんです」(Hirockさん・弥生さん)

欠けているように見えても陰と光の部分は常に一体となり、絶えず夜空を優しく照らす。
インタビューの締めくくりにうかがったこの一言に筆者なりのMIKAZUKI(三日月)のイメージが整いました。
市川市鬼越のMIKAZUKI.Designがこれから輝かせるその先にあるものは?

MIKAZUKI.Design

MIKAZUKI.Designのオフィスで予定されているイベントスケジュールは以下の通りです。

  • 10/23(土)・24(日) 10:00〜16:00 Onigoショップオープン ※24日は15:00まで
  • 10/30(土)・31(日) 10:00〜16:00 鬼越百鬼夜行 ※鬼越駅前ロータリーにて縁日のようなイベントです。

ライター:u1ro