2025年は全国でクマによる被害が多発し、市街地にも現れる「アーバンベア」も問題になっています。
国内では北海道にはヒグマ、本州や四国にはツキノワグマが生息していますが、「千葉県」は本州で唯一、熊が生息していないとされ、県外の観光客から注目を集めています。


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千葉県に熊がいない理由

東京都では熊が出没するのに、なぜ千葉県にはクマがいないのか?

① 房総半島は“孤立した半島”で、周囲を海と都市に囲まれている

熊の生態に詳しい石川県立大学の大井徹特任教授はテレビ番組のインタビューで次のように述べています。

房総半島は南側が海、北側は開発が進んだ関東平野に囲まれている。
関東平野には、住宅地や工場地帯、農耕地など、熊の移動の障害物になるものが多く移動は困難だと考えられている。

千葉に向かうには、

* 東京23区周辺の都市部
* 埼玉県南部の住宅地
* 関東平野の広大な農地
* 江戸川・利根川という大河川

といった巨大な障害帯を通過しなければならない。
都市部+平野+川が“クマのバリア”となり、移動は極めて困難。

大井特任教授によると、今後も千葉県に熊が移動してくるのはきわめて困難と述べています。

② 森林の規模がクマの生活に向いていない

千葉県の山は標高が低く、深い原生林も少ない。
クマのすみかになるような 広大な連続森林がない。
餌資源(ブナ、ドングリの豊富な落葉広葉樹林帯など)も少ない。

③ 千葉県には“歴史的にクマが存在した証拠がない

県立中央博物館の研究員・下稲葉さやかさんによると、

* 千葉県内でクマの化石は一度も出土していない
* 県内に過去に生息していた直接的記録もゼロ
* 縄文遺跡から見つかったクマの牙も、交易品として持ち込まれた可能性が高い

ちなみに熊は雪が降った・寒いなどの理由で冬眠をするのではなく、「食べるものがなくなった(収穫ができない)」という理由で冬眠に入るのだそう。

なので雪が降っても熊が出ることはあり得ます。

千葉県内の観光客が増えている?

以上の理由から千葉では熊の心配がないということで、最近アウトドアや観光に注目が集まっています。
鋸山ロープウェイでは例年の1.5倍の来場がありました。

千葉県にクマはいないとはいえ、イノシシ・シカ・サルなど別の野生動物はいるため、基本的な山の安全対策は必須です。